免税は2026年11月から「リファンド方式」へ — 包丁を買う訪日客は何が変わるか
結論
2026年11月1日以降の購入分から、免税店でも包丁は消費税10%込みの価格で買い、購入日から90日以内の出国時に空港で税関の確認を受けたあとで、消費税相当額が返金されます。包丁を買う人がすべきことは三つ。店で返金方法を登録する、包丁は箱とレシートごと手元に置く、そして包丁を入れたスーツケースを預ける前に空港の免税手続用端末で確認を済ませることです。
購入下限額は同一店舗・1日あたり税抜5,000円で変わりません。税関の確認はレシート単位で、手荷物を預ける前に行うため、預けてしまった物は確認を受けられません。返金の方法や時期は各免税店が決めます。2026年10月1日時点の公式情報で確認しています。
- 対象
- 2026年11月1日以降の購入分
- 支払い
- 税込価格(包丁は10%)
- 購入下限額
- 同一店舗・1日 税抜5,000円以上
- 税関確認
- 購入日から90日以内・荷物を預ける前
- 返金
- 免税店または返金事業者から
目次
結論 — 何が変わり、何をすればいいか
2026年11月1日以降に購入した分から、外国人旅行者向けの消費税免税制度は「リファンド方式」に切り替わります。免税店でも代金は消費税込みで支払い、購入日から90日以内の出国時に空港や港で税関が持ち出しを確認したあとで、消費税相当額が返金される仕組みです[1][3]。令和7年度税制改正で決まったもので、現行制度と併用できる移行期間はありません[12][2][5]。
- 店で:パスポートを提示し、税込価格で支払い、返金方法を登録します[7][9]。
- 購入下限額:同一店舗・1日あたり税抜5,000円以上のまま変わりません[1]。
- 空港で:手荷物を預ける前に、出発ロビーの免税手続用端末でパスポートを読み取らせます。このとき包丁は手元に必要です[1]。
- そのあと包丁を入れたスーツケースを預けます。包丁は機内持ち込み不可です。詰め方は包丁を飛行機で持ち帰る方法で解説しています。
- 返金は税関確認のあと、免税店またはその委託を受けた返金事業者から。方法と時期は店によって異なります[1][4]。
10月まで/11月からの比較
| 2026年10月31日まで | 2026年11月1日から | |
|---|---|---|
| 購入時 | 免税(税抜)価格で購入、またはカウンターで返金 | 税込価格で購入 |
| 購入下限額 | 一般物品は同一店舗・1日 税抜5,000円以上(包丁はこちら) | 区分なしで同一店舗・1日 税抜5,000円以上 |
| 物品の区分 | 一般物品と消耗品。消耗品は50万円まで、特殊包装が必要 | 区分・上限額・特殊包装とも廃止 |
| 用途 | 事業用・販売用と明らかな物は対象外 | 用途は問わない。出国時に自分で持ち出せる数量まで |
| 税関での確認 | 保安検査後の税関で旅券を提示 | 手荷物を預ける前に出発ロビーの端末で。購入日から90日以内 |
| 返金 | なし(そもそも課税されない) | 税関確認のあと、免税店・返金事業者から |
10月までの制度では、免税の対象は通常生活の用に供する物品で、事業用や販売用として買う物は免税になりませんでした。2023年4月1日からは、免税で買えるのは在留資格が「短期滞在」などの非居住者に限られています。物品は飲食料品・医薬品・化粧品などの消耗品と、それ以外の一般物品に分かれ、包丁は一般物品の側でした[10][6][9]。また、免税品を出国前に自分で郵送し、発送伝票の控えなどで輸出を証明する「別送」の扱いは、リファンド方式を待たずに2025年3月31日で廃止されています[10][4]。
免税で買える人
リファンド方式での免税購入対象者は、観光庁の一覧によると次のとおりです[7]。
- 外国籍の非居住者:在留資格が「短期滞在」「外交」「公用」の人、日米地位協定により入国する米軍構成員等、寄港地上陸・通過上陸・船舶観光上陸・乗員上陸・緊急上陸・遭難による上陸の許可を受けた人。外交・公用・米軍を除き、入国から6か月未満であることを確認できる必要があります。
- 日本国籍の非居住者:国外に引き続き2年以上住所または居所があることを証明書類で確認でき、一時帰国から6か月未満の人。証明書類は戸籍の附票の写し、在留証明、マイナンバーカード(国外転出の記載があるもの)のいずれかです。
就労や留学などの在留資格で日本に住んでいる人は対象外です。パスポートは原本を持参してください。写しの提示が認められているのは、船舶観光上陸許可の場合だけです[7]。
対象になる買い物と包丁の扱い
- 区分の廃止:一般物品と消耗品の区分がなくなり、消耗品の購入上限額(50万円)と特殊包装も廃止されます[6][3]。
- 購入下限額:同一店舗・1日あたり税抜5,000円以上。区分せず、その店で買った物の合計で判定します[1][3]。
- 対象外の物品:金・白金の地金、金貨・白金貨、消費税が非課税とされる物品だけです[6]。包丁や砥石、鞘はこれに当たりません。
- 用途要件の廃止:事業用でないことの確認がなくなります。仕事用の包丁を買う料理人にとっては大きな変更です。その代わり、出国時にすべてを自分で持ち出せる数量までという制限がかかります[6][4]。
- 税抜単価100万円以上:店は型番やシリアル番号などの「商品情報詳細」を記録し、税関では鑑定書や保証書の提示を求められることがあります[3][4]。
払って戻ってくるのは消費税(地方消費税を含む)で、標準税率は10%です。軽減税率8%の対象は飲食料品(酒類・外食を除く)と週2回以上発行される定期購読の新聞で、包丁は10%です[11]。税抜30,000円の包丁なら店頭では33,000円を支払い、返金されるのは3,000円の消費税相当額です。
店で聞かれること・説明されること
- パスポート(日本国籍の人は証明書類も)[7]。
- 返金方法の登録。登録のしかたは購入時に店から案内があります。公式に例示されている返金方法は、銀行振込、クレジットカードへの送金、アプリ送金、税関確認後の空港・港での現金返金ですが、どれを用意するかは店や返金事業者によって違います[4][9]。
- 店が必ず説明する三つのこと:購入日から90日以内の出国時に税関の確認を受けること、税関に求められたら免税品を提示できるようにしておくこと、確認を受けた物は遅滞なく輸出すること(輸出しなければ消費税が徴収され、罰則の対象になる)[8][2]。
名入れや仕上げをして後日引き渡す場合、免税販売手続は注文時ではなく引渡し時に行います[5]。海外へ発送してほしいなら、支払いの前に店に確認してください。対応は店によって異なります[4]。国税庁によると、購入者が店頭で国際輸送の運送契約を結び、その場で商品を引き渡す「直送」は通常の輸出免税として扱われ、店は税抜価格で販売でき、その商品について出国時の税関確認は要りません[5]。
空港での手順
- 時間に余裕を持って空港へ。税関の確認(検査を含む)は搭乗手続きまでに終える必要があります。時間切れなど自己都合で検査を途中でやめると、確認を受けたことになりません。手続きのせいで出発できなくても、航空会社や税関の補償はありません[1]。
- 免税品をすべて持って端末へ。免税手続用の端末(キオスク端末または電子端末)と税関の検査場所は、手荷物を預ける前の国際線出発ロビーなどにあります。パスポートを読み取らせる時点で、免税品をすべて所持している必要があります[1]。
- パスポートを読み取らせる。グリーン判定なら手続きは終わり。レッド判定なら税関の検査場所で免税品を見せます[1]。
- それから荷物を預ける。預けたあとでは手続きができず、免税手続きのために預けた荷物を引き戻すこともできません[1]。
成田・羽田・関西・中部・福岡・新千歳・那覇の各空港では、端末の代わりにVisit Japan Webを使ったオンライン手続きもできます(国際線出発ロビーの手続専用無線LANにつながるエリア内、保安検査場の手前まで)。国内線から国際線に乗り継いで出国する場合は、日本を出国する最後の空港で手続きします[1]。
返金は、税関の確認で免税販売が成立したあと、基本的に免税店(または委託を受けた返金事業者)から行われます。返金の方法について消費税法令にルールはなく、店によって異なります[4][2]。また、税関の確認はレシート単位です。1枚のレシートに含まれる品のうち一つでも手元になければ、そのレシートの分は返金されません[1][3]。
包丁を買う人のための実務ポイント
- 確認が済むまで包丁は箱に入れたまま。消耗品以外の物は、国内で使っても最終的に国外へ持ち出すなら確認を受けられます。ただし箱から出して別にしたり、型番の書かれた梱包材を捨てたりすると、税関で特定できないおそれがあります[5]。包丁・箱・レシートはひとまとめに。
- 同じレシートに何を入れるか。包丁と砥石と鞘を一緒に買えば、まとめて一つの単位で確認されます。出国前に人に贈る物や使い切る物があるなら、別会計にできるか店に相談してください。
- レッド判定に備えて詰める。箱入りの包丁はすぐ取り出せる位置に入れ、確認が済んでからスーツケースを預けます。包丁は預け荷物のみです(詰め方の解説)。
- 90日の数え方。購入日の翌日から数えて90日目までです。11月1日に買った包丁なら、翌年1月30日が税関確認の期限になります[3]。
- 複数の町で買っても同じ。かっぱ橋、大阪・堺、関、京都のどこで買っても、購入下限額は店ごと・1日ごとに判定され、確認は日本を出る空港でまとめて受けます。
- 切り替え前後の購入。どちらの制度になるかは出国日ではなく販売日で決まります。10月31日までの購入は現行制度、11月1日以降はリファンド方式です[5]。
回る店を決めるなら、かっぱ橋道具街の包丁専門店ガイドも参考にしてください。
まだ確認できていないこと
2026年10月1日時点で、旅行者向けの公式情報では次の点がはっきりしていません。店に確認してください。
- 手数料。返金されるのは「消費税相当額」とされ、方法は店に委ねられていますが、店や返金事業者が手数料を差し引けるかどうかには触れていません。
- 返金までの日数と通貨。標準的な日数の定めはなく、海外のカードに返金する際の為替の扱いについても記載がありません[4]。
- どの店が免税を続けるか。既存の免税店は新制度の許可を受けたものとみなされますが、免税販売手続の電子化に対応していない店は2026年10月31日で許可の効力を失います[3]。個々の包丁店が11月以降も免税販売をするかは、その店に聞くしかありません。
- 10月に買い、11月以降に出国する場合。現行制度で買った免税品を11月1日以降の出国時にどう確認するかは、旅行者向けの案内では具体的に示されていません。品物とレシートは手元に置いておきましょう。
- 国内線から荷物をスルーで預ける場合。包丁は機内に持ち込めないため、最終出国空港の端末の前で包丁が手元にない状態になります。この場合の扱いを示した公式情報は見つかりませんでした。航空会社に確認してください。
公式情報が追加され次第、このページを更新します。
よくある質問
2026年11月以降に日本で買った包丁でも、消費税は戻ってきますか?
包丁だといくら戻ってきますか?
税関の確認より先に、包丁を入れたスーツケースを預けてもいいですか?
国内線で乗り継いで出国します。どこで手続きしますか?
出国前に日本で包丁を使ってもいいですか?
包丁を店から海外に送ってもらうことはできますか?
海外に住んでいる日本人も免税で買えますか?
出典
- [1] 1.リファンド方式とは(旅行者向け) , 観光庁 消費税免税店サイト (2026)
- [2] 輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し , 国税庁(National Tax Agency) (2026)
- [3] 輸出物品販売場制度は令和8年11月からリファンド方式に移行します(令和7年度税制改正) , 国税庁 (2025)
- [4] 旅行者向け よくある質問(リファンド方式) , 観光庁 消費税免税店サイト (2026)
- [5] 輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式・概要編)(令和8年4月改訂) , 国税庁(National Tax Agency) (2026)
- [6] 手続の変更点(比較表) , 観光庁 (2026)
- [7] 【旅行者向け】免税購入対象者一覧(リファンド方式) , 観光庁 (2026)
- [8] 免税対象物品を購入する外国人旅行者の方へ(2026年11月以降分) , 国税庁・税関 (2026)
- [9] 2026年11月から消費税免税制度がリファンド方式に変わります(旅行者向けリーフレット) , 観光庁・経済産業省・国税庁・税関 (2026)
- [10] 5004 消費税の輸出免税について(外国からの旅行者・海外旅行者の場合) , 税関(Japan Customs) (2026)
- [11] No.6303 消費税および地方消費税の税率 , 国税庁 タックスアンサー(National Tax Agency) (2026)
- [12] 令和7年度税制改正の大綱(4/9)— 外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)の見直し , 財務省(Ministry of Finance) (2024-12-27)